その瞳をわたしに向けて
居酒屋を出て、強引に手を引いたまま歩いて行く。

「痛いっ早いよぉ」

そう言う美月に、松田は一旦足を停める

「バカかお前は、ふらふら着いていきそうになりやがって………」

「だって、松田さんいなくなっちゃったから捜してただけだもんっ。そしたら親切に一緒に捜してくれるって言うから……」

松田は片手で顔を覆い、盛大な溜め息をついた

「そう言うのが一番危ないんだろ。学習しろよ、本当にどうしようもない奴等に声掛けられやがって………」


松田の責めるような叱責に、俯いて口を尖らる

「怒ってる松田さんが、一番怖い……」


「はぁっ?」

そこまで怖がらせるほど叱ってないぞ………?

繋いでいた美月の手に力がきゅっとこもって、少し震えていた

「高いとこから見下ろされて低い声だされると怖い…………」


「なんで……?」


「…………思い出すから」


ああ、何となく分かってきた。


「ストーカーか?背が高かったのか?」


コクンと頭を下げた。それ以上話したくないのか俯いたまま、繋いでいた手の腕に絡みついてきた。


「なんだよ。背が高いってだけでストーカー扱いか?」


「なんか、松田さんってあの男みたいにバスケ部エースって感じだもん」


そんな顔してぷくっと頬を膨らまして見上げてくるなよ………


「バスケ部エースねぇ………そんな風に見えるのか?清宮に、俺って」

ゆっくりとまた歩き始めながら話をする

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