その瞳をわたしに向けて
「やっ…………松田さぁん」
「ほら、ストッキング脱いでひざ立てろよ、清宮………」
「やだっ、痛くしないでぇ…………」
「………何言ってんだ、子供じゃないんだろ?ほらっ………」
「あ……………やぁぁん」
脚を引いてしまう美月のふくらはぎを、松田が押さえつける
「逃げるなよ、すぐ終わらせるから………」
「だって…………あ、んっ」
「清宮、頼む…………」
思わず顔を叛ける美月に、松田がその顔睨みつける
「変な声だすなっ!気が散るから!!」
美月のひざの傷に消毒を塗って、救急箱から大きめの絆創膏を取り出して貼った。
「ったく、転ぶか普通………あんな所で」
マンションに着いた所で、繋いでいた手を放した松田、その拍子にバランスを崩し、転んでしまった。
ひざを擦りむいて、痛いっと騒ぐ美月を仕方なくおぶって部屋まで連れて行って、手当てまでしている。
「だって、急に手放すんだもん………」
口を尖らせ、半泣き状態で松田の手当てを見守る美月
…………確かに、マンションの前まで来て、初めて居酒屋からまるでバカップルみたいに手を繋いで歩いていたことに気が付いて、思わず勢いよく振りほどいてしまった。
ベッドの上に座り、ひざを出す美月の前で、床に座り込む松田