その瞳をわたしに向けて
ひと部屋続きのL D K の美月の部屋は、確かに普通よりは広かったが、それはただ単に物が全てくくりつけの収納の中にあるためで、レースとか花柄やキャラクターものもなく、スッキリした部屋だった。
女性ぽくないわけじゃないが、色目が白と茶色で統一された落ち着きすぎる部屋の印象だった。
手当てを終えた後、まじまじと見つめてくる美月の視線に気が付いて、顔を上げた
「なんだ?」
顔を上げたと同時に、眼鏡を美月に取り上げられた。
「これって、度が入ってるんだぁ」
自分で確かめるようにかざしてみる美月に松田の長い腕が伸びる。
「返せ、もう帰るから」
「……………」
眼鏡を取り返しに近づいた手と、すれ違いに美月の白い手が松田の頬に伸びた
「キレイ……………」
「?!」
美月の行動に固まる松田だが、それ以上に美月が近づいてきて、二度瞬きをした大きな瞳で見つめてきた。
「…………」
「松田さんの目って、いつも怖いのに……こうして近くで見ると綺麗なんだぁ。
立花さん見てる時、優しいよね…………こんな綺麗な目で見つめてるのに、なんで気づかないんだろう」
そう言って、松田の目の端にキスをしてきた。
そのまま松田の首に腕を回し、絡みついてくる美月
ほのかにフローラルな香水の香りがした
「………清宮、お前酔ってるだろ、誘ってんのか?」
「ん………松田さんって暖かいのねぇ。こうすると落ち着く…………」
松田の肩に顔を埋める、そんな美月の背中に手を回し、一方で頭を撫でるとより強くキュッと抱きついてきた。