その瞳をわたしに向けて

「今日の立花さんの休みって?」

「ああ、それは関係ないよ。前から訪ねたい所があって、仕事の都合に合わせて出掛けただけだからね。二日間くらいで帰ってくる予定だから、仕事大丈夫?」

大丈夫です、大丈夫ですとあわてて手を振る。

「私が立花さんの代わりに出来る仕事なんてないですから」

昨日の事が原因で休んだんじゃないかって考えは自信過剰だったかもしれない

『そんな事で別れたりしないあの二人は』

微かに覚えのある松田に言われた言葉を思い出してちょっとホッとした。


杉村常務の手がふわりと美月の頭を撫でる


「無理しなくていいから。清宮さんは、清宮さんのペースでやっていけばいいと思うよ。」


顔を覗き込みながらそう言ってくれたから、ちょっと嬉しかった。

「コネ入社ですけどねぇ………」

照れ隠しに口を尖らして見せると、ははっと声をあげて笑われた。

「コネ入社は僕も同じだよ。面接も試験も受けてないからね。」

「そんな……当たり前じゃないですかぁ」

いつもの柔らかい優しい笑顔で冗談をいうから少し剥れてみせる

「君だって大事な社員だよ。」


そう言ってまた頭を撫でてくれた。




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