その瞳をわたしに向けて
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幼稚舎から大学までエスカレート式の学校にいることに違和感を感じて、親に一世一代の反抗をした

そこで一般入試を受けて入学した大学生活

普通に友達が出来て、一人暮らしは大変だったけどそれなりに楽しかった

何より初めてできた彼氏には、自分でも周りが見えなくなるほど夢中になっていた


大学になって親友になった同じ学部の萌子に、大学内で彼女の自慢の幼馴染みを紹介され、一緒に遊ぶようになった一つ年上の颯太君


頭が良くて、人気者で、優しくて、「大好きだから付き合ってよ」って言われた時は本当に嬉しかった


人気のある彼の友達にも何人か紹介された


親友だと紹介されたあの男もその一人だった


颯太君との待ち合わせ場所に現れて、
「用事があるから」と彼を一緒に待っていると言うその男は、颯太君が来るとそれじゃあと行ってしまう


そんな事が何回か続いたが、特別私と仲良くする訳でもなかったから、あまり気にしてなかった


だんだんとおかしいと思ったのは、同じ学部でもないし、学年も違うし、サークル仲間でもないその男と良く出会う事だった


「今からバスケなんだ。その前に清宮さんに会えてラッキー」


大学のバスケットボール部に所属していたその男は学内でもそれなりに有名人だった

背が人よりはるかに高く、その為に存在が目立つ

何度も一緒にいるところを見られると、変な噂がたち始める


違和感を感じ始めてすぐに萌子に相談した

気のせいじゃない?って言う彼女だったけど、気をつけててあげるからと言われ少し落ち着いた

何より颯太君が気にしている様子でもなかったので、その時はそのままやり過ごしていた

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