その瞳をわたしに向けて

「そんな疲れた顔してたら分かるって」

彼女の観察力に勝てるはずはないか…………

「……そんなに変?」


「うん、すっごいブサイクになってる」

……ひどい



ふと、もう一杯のグラスワインを頼む瑠璃子の左の二の腕に目を向けた

「今日は瑠璃ちゃん、ノースリーブなんだ」

「ん、もう暑くなったからね。」

「…………」

「なに?」

美月は小さく溜め息をついて目を叛けた

「いや、だいぶ目立たなくなったけど、まだ傷が見えるなぁと思って…………」

「ああ、これ気になる?チャレンジで聞いてくる人もいるのよ。人の気を引くのには丁度良いかも」


そこにある瑠璃子の傷は10㎝ほどの切り傷の跡


その傷をつけた原因は美月だった

**

大学時期に住んでいた美月の一人暮らしのマンションの隣に住んでいたのが瑠璃子だ

明らかにストーカーみたいな大男がうろつくのを見かねて防犯カメラを取り付けることを進めてくれたのがキッカケだった

「なにこれ………ヤバくない?」

その防犯カメラにあった映像をみて驚愕した
想像以上日中問わずうろつくの男の映像だった

見るのをやめていたTwitterも開いてみればひどいものだった

暫く、警察に持っていくための証拠集めのため、我慢していたが………


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