その瞳をわたしに向けて
大学時代、ある事がきっかけで引き籠りになったことのある私

そのために瑠璃子とルームシェアする事になって2年ほど二人で一緒に住んでいた


人付き合いの得意じゃない私と寂しがりやの瑠璃子

私が社会人になって、さすがに職場のちがいから一緒には住めないけど、彼女とは親友として繋がっている




「あの、このまま二人で抜け出しませんか?近くにいい店知ってるんです」

スーツ軍団の自慢合戦に勝ち抜いた一人が美月の化粧直しを待ち伏せして声を掛けてきた


「はぁ………」

肩書き、ルックスに自信があるらしくさっきまでそれなりに合コン目的の女性たちにも囲まれていた人物だ

少し近くで、その肉食女子軍団がこちらの様子を伺っている

………こわっ


「今日は、友達と来てるんで……」

「そんなの後で電話しとけばいいでしょう。行きましょう。」

そう言って美月の手を引き寄せる

うわっ……この強引さ、面倒臭そうなのに目をつけられてしまった

しかも肉食女子軍団が少しずつ近づいてくるし、まるでどっかのテレビ番組の第一位人気男子の争奪戦みたいに……



「ごめんなさい、この子私の連れだから」

「瑠璃ちゃんっ」


ちゃんと交流会をしていた団体から抜け出した瑠璃子が、美月に言い寄る男との中に割って入ってくれた


圧倒的な瑠璃子の雰囲気に、怯んで離れていったその男に、すかさず肉食女子軍団たちが囲っていった



「何やってんの……相変わらず変なのに言い寄られる癖、治ってないのね」


「癖って………」
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