その瞳をわたしに向けて
忙しそうに資料を見る立花に、松田への伝言から席に戻っても隣から、声を掛けることが出来なかった


考えてみたら常務室の時から以来だった

完全に声も掛けるタイミングを失なって、そのまま席についた

そんな美月達の気まずい雰囲気に拘わらず松田の声が美月に向かって響いた

「清宮っ、立花に何か言う事あるだろっ」

その一言だった、でも話す機会はできた、
すぐに立花の方を向いて頭を下げた


「あのっ立花さんすみません。いろいろ、本当にいろいろ迷惑かけてます。」

周りには田中さんも、他の人もいる。恥ずかしくて顔が赤くなる

「美月ちゃん、違うって本当に、むしろ私の方がこのタイミングで休み取っちゃって申し訳なかったんだから………」


そう言って、隣の席の立花も立ち上がって美月の肩に手を添えた

「ってか、松田君言い過ぎ!虐めてる様にしか見えないでしょっ」

途中から松田の方を向いて声を上げる

「立花が甘やかすからだろ!こっちだってしなくていい事が増えてんだっ、しっかり反省さるのが普通だろっ」


言い返しながら外出先をホワイトボードに記入して、バタバタと出掛けて行った

「…………」

本当に気にしなくていいからと、電話番でやることのない美月の前に、数枚の書類を差し出してきた
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