その瞳をわたしに向けて
定時 近くなると立花もバタバタと外出して行った
松田や一条もまだ会社に戻ってくる様子もなく、定時にはキッカリ帰る田中さんぐらいしか帰り支度をしていない
ここでさっさと帰る訳にもいかず、でもやることがない
なんとなく休憩コーナーでミルクティーを買って、どうしようもなく時間をつぶした
「清宮さん、帰らないの、残業?」
声をかけられて視線を向けると、杉村常務が美月の座る長椅子の隣にニコニコしながら腰を降ろした
「今日も松田に怒られてたらしいね。もしかして帰り辛い?」
「うっ………はい」
「清宮さんらしくないね」
常務はククッと笑った
それっていつも反省してないみたいじゃない………
さすがに今日は、自分の役に立てなさぶりに落ち込んでるのに…………
「大丈夫、まだ入社一年ちょっとなんだから、反省できれば充分だよ」
そう言ってふわんと頭を撫でてくれた
………甘いよね、これは甘やかされてる。