その瞳をわたしに向けて
「よしっ食事に行こうか」
「えっ?!」
頭にまだ手を置かれたまま、ねっといつもの柔らかい笑顔で言う常務
…………ねっ、じゃなくてそれはちょっと
慌てて首を振ると
「3人でさ」と、美月の後ろに視線を向けた。
「?」
「おかえり、仕事は終わった?」
そこには、呆れたような顔した立花さんが外出から帰ってきたところだった
そしていつもより増して笑顔な常務が立花さんを向かえていた
「旅行はどうだった?」
「…………ありがとうございました。お陰様でいろいろ話ができました。」
照れ臭そうに常務の前に寄る立花
「……………立花さん、どこにいってたんですか?」
「能登の方に……母に会いに行ってたの」
「お母さんに?」
その時初めて立花さんの事情を知った
小学三年生の時離婚した両親のうち、一緒に住んでいた父親を三年前に事故で亡くして、母親は音信不通でどこにいるか分からなかったのを、
泉のおば様が立花さんの身辺調査で見つけてくれて、会いに行っていた
そこで、父親が亡くなる前までは母親と父親は立花のことで手紙のやり取りがあったことが分かったらしい。まさか父親が事故で亡くなっているとは知らなかったと………
「いつまでたっても、僕の100%の愛情を疑うもんだからね、先に挨拶してきたよ」