その瞳をわたしに向けて
「いつ母に会いに行ってたんですか?」

「少し前の出張の時にね、お義母さん元気でした?」

「貴也さんによろしく………って」

バツが悪そうに常務を見る立花
二人の会話は見えないが、杉村常務が何か先に根回ししていたらしい……

「味方は多い方がいいからね。」

そう言って美月の方へ顔を向けた

「この人、いつまでたっても僕のプロポーズをOK してくれないんだ、清宮さん」


「へっ………?」

OKしてないって立花さんが?…………なんで?

「それは、ずっと貴也さんは一人になった私に同情して付き合ってくれてたと思っていたから…………」

「同情で結婚まで考えないだろ普通………」


…………痴話喧嘩?


長椅子から見上げ、立花の腕に手を伸ばす常務

「それに貴也さんの周りには、たくさんの綺麗な女の人がいたし…………」


まあ、独身35歳のイケメンじゃ仕方ないよ
おば様も何度か頑張ってたんだ、きっと

「それに、美月ちゃんが婚約者だった事だって、黙ってたじゃない」

いや、婚約してませんからって…………
…………えっ?!


美月が顔を上げて二人を見る

「立花さんも知らなかったんですか?!」


急に声を出した美月

バツの悪そうな顔をする杉村常務に少し剥れ顔の立花


立花がコクンと頭を下げて美月の方を見た

「レセプションパーティーの時に初めて聞いて………」


「だから、その話は説明したでしょ。清宮さんと伯母さんとも理解してもらってちゃんとしたって………」

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