そして星は流れて消えた
「怖く、なりましたか」
「……うん」
怖くないと言えば嘘になる。
確かに、死ぬのが怖いと思ったことは何度もあった。
でも今まで人が死ぬ瞬間を目の前で見たことがなかった。
死とはどんなものか。
私は今朝、本当の意味で知ってしまった。
「人が死ぬのって、あっけないものだね」
とても悲しい、辛い、苦しい。
でも何故だろう。
涙は一粒も出なかった。
「私も1年後、あんなふうに死んでいくのかな」
満月ちゃんの死を目の前にして、
私は暗闇の中に落とされたような気がした。
一歩下がると、暗闇の底に落ちてしまいそうな、深い闇。
「私は…どうしたらいいのかな、先生……」
こわい。
死ぬのがこわい。
私一人くらいこの世界からいなくなったって、何もなかったかのように時間は流れる。
なら、いまここから飛び降りて死んだってそんなに変わらないんじゃないか。
どうせ、わたしは1年後には死ぬんだから。