そして星は流れて消えた
「好き」
一ヶ月前のあの日以来、口にした"好き"と言う気持ち。
ふいに伝えたくなった。
私が先生を好きなこと。
本当は、"好き"の2文字では伝えきれないほど先生を想ってるんだよ。
全然、伝えきれていない。
でもどうしたら全部伝わるのかがわからなかった。
「……」
しばらく放心したように私を見つめていた先生は、我にかえったとき少し表情が緩んだ気がした。
「…なんですか、急に」
「急に言いたくなったの」
私は照れながらも、にっこり微笑む。
「先生いま照れたでしょ」
「照れてません」
「私見てたもん。絶対照れてた。シャッターチャンスだったのになあ。先生もう一回照れてよ!」
「照れてませんから」
「照れてたもん」
「忙しいんでもう行きますからね」
「逃げる気だー!ずるーい」
「僕は午後から外来なんです。あなたに構ってる暇はありません」
「じゃあ暇になったらまた来てね」
最近、先生との距離が少しずつ縮まってきている感じがしていた。
それは、気のせいなのかな。
そう思うこともある。
でも、本当に縮まってきているんだなと実感できる瞬間があった。
「外来が終わったらまた来ます」
やっぱり先生は優しい。