そして星は流れて消えた


「やっぱり望月先生格好いいなー!」

私はいつも午後2時になると307号室に遊びにいくのが習慣だ。


「本当にセイちゃんは望月先生のこと好きだね。そんなにいいかなあ」

私の右側に座り、満月(みつき)ちゃんは微笑んだ。


満月ちゃんは病院で知り合った10歳の女の子。

重い心臓病を抱えていて、入退院を繰り返しているらしい。

「だって格好いいし優しいじゃん。なんでみんな先生の魅力がわからないかなあ」

「優しい?冷たいじゃん、笑わないし」


「優しいよ!だって……」




「ここにいたんですか天野さん」


後ろから声がして、驚いて振り替えると望月先生がドアに寄りかかり腕を組ながらこちらを見ていた。


「望月先生!」


「あなたが来いと言っておきながら、病室にいないとはひどいですね」


ほら。

忙しいから無理って言ってたくせに、いつもこうやって来てくれる。


そういう優しいところが好き。


「なに笑ってるんですか」

無意識に顔がにやけてしまう。
とても嬉しい。


「ううん、何でもないっ!」


やっぱり望月先生が好きだ。


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