そして星は流れて消えた
「望月先生へのプレゼントと、ご両親へのプレゼントと両方買えたわね。あとは何か欲しいものある?自分のものは買わなくていいの?」
欲しいもの…
今さら買って、なんの意味があると言うんだろう。
もっと貪欲になってもいいんだと思う。
お父さんもお母さんも、もっと欲しいものがあったら買ってくると言ってくれてる。
でも…
どうしても考えてしまうんだ。
それは私がもう"短いから"。
もうすぐいなくなるから、その準備が始まっているような気がして。
どうしても欲しいものが見つからなかった。
「あれ、どうしたのかしら」
小夜ちゃんの言葉で我にかえる。
1階の大階段の下に人だかりができている。
「人が集まってるね。なにかイベントかな」
あまり深く考えられなかった私は、そちらを見てからすぐ目を逸らした。
「いや、違うわ。…人が倒れてる」
「え?」
もう一度良くみると、男の人が人だかりの中心に倒れていた。
「私、行ってくるわ」
「うん。私はどうすれば…」
「少しだけ星華ちゃんのそばを離れるけど…」
「大丈夫だよ!私はそこのベンチに座ってるから、早く行ってあげて!」
「ありがとう!行ってくるわ!」
小夜ちゃんの後ろ姿を見送りながら、思った。
あの男の人は助かるのだろうか。
もしまた、満月ちゃんのときみたいになったら…
不安になり、胸が苦しくなった。
もう人の死を目の当たりにしたくない。
私ももうすぐあんなふうに…