そして星は流れて消えた
――2ヶ月前。
私は吐き気と頭痛に襲われ、この望月総合病院を受診した。
検査の結果、私は脳に悪性の腫瘍があり、あと1年もつかもたないかという余命宣告をされた。
まさかそんなことを言われるなんて思いもしなくて、私はショックで診察室を飛び出した。
そして病院の裏庭のベンチで泣いていたときのことだった。
『どうしたんですか』
顔を上げると、目の前には黒縁メガネの白衣の男の人が立っていた。
顔を上げて先生の顔を初めて見た瞬間のことは、今でも忘れられない。
『……うっ…』
私は泣きすぎて、出そうとしても声が出せなかった。
『どうしてそんなに泣いているんですか』
やっぱり私は声が出せなかった。
私の様子を見て、先生は隣に座り私が泣き止むまでなにも言わずにそばにいてくれた。
名前も知らない私のそばに。
落ち着いてから、私は先生に事情を話始めた。