そして星は流れて消えた


午後2時。

一番暇になる時間帯だった。


前なら、満月ちゃんの病室で折り紙を折ったり、絵を描いたり、昨日あった出来事を話したり…


でも満月ちゃんはもういない。


そう考えてしんみりすることはよくある。



ずっとしんみりしているわけにもいかないから、私も前を向かなきゃいけない。



例えもう、先がなくても。








ーーーコンコン。


病室のドアをノックする音がする。

先生?

それともお父さんかお母さん?



「はい、どうぞ」


返事をしてすぐ、病室のドアが静かに開いた。


そこに立っていたのは先生でも、お父さんでもお母さんでもなかった。


「彗(すい)…!」


「久しぶりだな、天野」


そこにいたのは雨宮彗(あめみやすい)。

私の高校の同級生で、わたしと同じ写真部だ。


「久しぶりだね彗。どうしたの?」


久しぶりに会った彗は、クセっ毛の髪を茶色に染め、前よりもチャラくなった印象を受けた。


「学校が夏休みに入って暇になったから来てみた。ずっと来ようと思ってたんだけど、忙しくてさ」


「そうだったんだ。せっかく来たんだから、ここに座りなよ。久しぶりに色々話そう」


「おう」

< 36 / 70 >

この作品をシェア

pagetop