そして星は流れて消えた
午後2時。
一番暇になる時間帯だった。
前なら、満月ちゃんの病室で折り紙を折ったり、絵を描いたり、昨日あった出来事を話したり…
でも満月ちゃんはもういない。
そう考えてしんみりすることはよくある。
ずっとしんみりしているわけにもいかないから、私も前を向かなきゃいけない。
例えもう、先がなくても。
ーーーコンコン。
病室のドアをノックする音がする。
先生?
それともお父さんかお母さん?
「はい、どうぞ」
返事をしてすぐ、病室のドアが静かに開いた。
そこに立っていたのは先生でも、お父さんでもお母さんでもなかった。
「彗(すい)…!」
「久しぶりだな、天野」
そこにいたのは雨宮彗(あめみやすい)。
私の高校の同級生で、わたしと同じ写真部だ。
「久しぶりだね彗。どうしたの?」
久しぶりに会った彗は、クセっ毛の髪を茶色に染め、前よりもチャラくなった印象を受けた。
「学校が夏休みに入って暇になったから来てみた。ずっと来ようと思ってたんだけど、忙しくてさ」
「そうだったんだ。せっかく来たんだから、ここに座りなよ。久しぶりに色々話そう」
「おう」