そして星は流れて消えた

「ごめんね迷惑かけちゃって」

裏庭での一件から3時間後。
眠っていた私は目を覚ましていた。

「いいや。今回は対処が早かったから大事にならずに済んだ」

「彗には迷惑かけちゃったかな。迷惑かけたし謝りたかったな」

彗は私が寝ている間に帰ってしまったらしい。
迷惑をかけた謝罪をしたかったのに。
いきなり苦しみだしたら、そりゃ困るよね。

「星華」

先生に久しぶりに"星華"と名前を呼ばれ、胸が大きく鼓動する。

「えっ!?ど、どうしたの」

先生は呼んだくせに何も言わない。

「どうしたの?先生」

「いや、なんでもない」

「え?なになに?言ってよ」

「いや、やっぱいいって」

「気になるし!1度言おうとしたんだから言ってよ」

私がそう言うと、先生は少し悩んでから口を開いた。



「…俺のことは名前で呼んでくれないんだなって」

「え?」

一瞬私はなにを言われたか理解できなかった。

「だから、同級生のあいつのことは下の名前で呼び捨てするくせに、俺のことは"北斗"って呼んでくれないんだなって」

そう言われて、私はやっと理解できた。

「それって…」

私はその言葉の意味がわかり、顔が赤くなるのがわかった。

「やきもち?」

「べつに、そんなんじゃない」

「いやいや、やきもちじゃん」

「……そうなんかな」

そう気づいて赤くなってるのは、私だけじゃないことに少し経ってから気づいた。
先生が口を押さえて顔を隠しているのは、照れを隠すためみたいだ。

< 45 / 70 >

この作品をシェア

pagetop