そして星は流れて消えた
「ごめんね迷惑かけちゃって」
裏庭での一件から3時間後。
眠っていた私は目を覚ましていた。
「いいや。今回は対処が早かったから大事にならずに済んだ」
「彗には迷惑かけちゃったかな。迷惑かけたし謝りたかったな」
彗は私が寝ている間に帰ってしまったらしい。
迷惑をかけた謝罪をしたかったのに。
いきなり苦しみだしたら、そりゃ困るよね。
「星華」
先生に久しぶりに"星華"と名前を呼ばれ、胸が大きく鼓動する。
「えっ!?ど、どうしたの」
先生は呼んだくせに何も言わない。
「どうしたの?先生」
「いや、なんでもない」
「え?なになに?言ってよ」
「いや、やっぱいいって」
「気になるし!1度言おうとしたんだから言ってよ」
私がそう言うと、先生は少し悩んでから口を開いた。
「…俺のことは名前で呼んでくれないんだなって」
「え?」
一瞬私はなにを言われたか理解できなかった。
「だから、同級生のあいつのことは下の名前で呼び捨てするくせに、俺のことは"北斗"って呼んでくれないんだなって」
そう言われて、私はやっと理解できた。
「それって…」
私はその言葉の意味がわかり、顔が赤くなるのがわかった。
「やきもち?」
「べつに、そんなんじゃない」
「いやいや、やきもちじゃん」
「……そうなんかな」
そう気づいて赤くなってるのは、私だけじゃないことに少し経ってから気づいた。
先生が口を押さえて顔を隠しているのは、照れを隠すためみたいだ。