そして星は流れて消えた
「純粋よね、高校生って」
いつの間に後ろにいたんだろう。
星華の病室のドアの前で立ち尽くしている俺の後ろには、腕を組んで壁にもたれ掛かっている美空小夜がいた。
「若いっていいわね。このままじゃ、あの高校生の男の子にとられちゃうんじゃない?」
「君には関係ない」
「関係あるわよ。あの二人がくっついてくれたら、私は"北斗"を取り戻すことができる」
「名前で呼ぶなよ」
「あらいいじゃない。昔のように"小夜"って呼んでよ」
「何度も言うが、もう君とは寄りを戻す気はない。君は親父が勝手に決めた相手…もう婚約は破棄したはずだ。違う男をあたってくれ」
俺は美空のような、我が儘で自分勝手な女は嫌いだった。
一番関わりたいないタイプだ。
「諦めないわよ、私」
静かな鋭い声だった。
「絶対手に入れてみせるから」
そう言い残すと美空は立ち尽くす俺をおいて、ナースステーションへ戻っていった。