そして星は流れて消えた


病院は22時に消灯する。

消灯してから眠りに落ちるまでの間が、
私は嫌いだった。



私は個室なので、ひとりで暗い部屋の中眠らなければならない。


このときに私は悪い想像をしてしまう。



私はどんなふうに死ぬのだろう。
苦しいかな。



みんな、泣いてくれるかな。



お父さん、お母さん。

満月ちゃんや、クラスメイト、写真部のみんな。


望月先生も、そのときくらい私のことを考えてくれるかな。



私だって辛い。

けれど、まわりのみんなを悲しませてしまうんだと考えるともっと辛い。



私が死んだら、みんなから私についての記憶を全部消せたらいいのに。


それも悲しいけどね。


記憶を消さなくたってきっと、
私のことなんて時間がたてば忘れていくんだろうけど。


でも望月先生にだけは、忘れられたくない。



忘れられたくないよ。



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