そして星は流れて消えた

「先生、ごめんなさい…」

ずっと我慢していた涙が溢れてくる。
もう感情の制御ができなかった。

「好きだよ星華」

先生は笑って言った。
笑ってくれたの、2度目だ。

「昨日は、1度キスをしたら止められなくなりそうだったから」

私は顔が火照るのがわかった。

昨日はキス寸前で病室を出ていったのは、頭を冷やすためだったらしい。
顔を赤らめている自分が恥ずかしいと思い、廊下で冷ましていたと先生は言った。

「病室に戻るつもりだったんだけど、急に控え室に戻るように言われてさ、病室に行けなかった」

じゃあ私は、先生を好きでいてもいいんだよね?

「先生…ううん、北斗」

ああ。

気持ちが溢れてくる。

「すきだよ。出会えてよかった」

私は幸せ者だ。
こうして心から幸せだと思えるのは、先生のおかけだ。

先生は私の光だ。

「昨日の続き、今度こそいいか?」

「聞かなくたっていいのに。当たり前だよ」

今日も綺麗な星空だった。

私たちは月の光の下、キスをした。


今までで一番、幸せな夜だった。
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