そして星は流れて消えた
☆☆☆
「本当にこれでいいのか?」
私は彗に一枚の写真を手渡す。
「うん」
「わかった」
12月13日。
雪が降ってもおかしくない気候だと天気予報で言っていた。
この日、
私は全国高校生写真コンテストに応募する写真を決めた。
彗にとっては予想外の写真だったらしい。
「天野らしいや」
そう言って彗は笑った。
「そういえば、明日天野の誕生日だろ?プレゼント持ってきたんだ」
そう言って鞄から大きめのファイルを取り出した。
「これ、もしかしてアルバム?」
「写真部のみんなで作ったんだ」
中を開くと、1ページ目は写真部のみんなで撮った集合写真だった。
そして2ページ、3ページと開いていくと文化祭のときの写真、合宿の写真、ふざけながらとった変顔写真など、懐かしいものが沢山あった。
「嬉しい!ありがとう」
私はアルバムをぎゅっと抱き締めた。
「明日は俺、来ないしさ」
本当の意味で先生と気持ちが通じあったあと、彗の告白を断った。
彗は"そうか"と言って、笑った。
"気まずくなるのは嫌だから、じゃあ俺らは親友な"って彗は言った。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいだったけれど、彗は気にするなと言った。
その優しさに、私は甘えているのかな。
そんなことがあり、いまに至る。
明日のことも、先生との時間を邪魔したくないと考えたんだろう。
先生は仕事だから大丈夫だよって言ったのに、彗は首を振った。
「応募写真送らないといけないし、ポストに投函しに行くから今日は帰ろうかな。じゃあな天野」
「よろしくね」
写真は、かなり悩んだ挙げ句決めた。
これで入賞できなかったとしても、悔いはない。
ーーコンコン。
彗と入れ違いで入ってきたのは、先生だった。
「星華、今日の夜23時半に迎えに来るから準備しといてな」
準備?
先生はなにか企んでいるようだ。
顔に出ているとは気づいていないようなので、私は少し可笑しくて笑ってしまった。