そして星は流れて消えた

「遅い」

そう言うと思った。
彗くんは1枚の写真の前で待っていた。

「悪い」

彗くんとは今や連絡を取り合う仲だった。
この場所も彗くんが教えてくれたが、彼は時間感覚がおかしいようだ。

「駅から5分って言ってたくせに、10分以上かかったぞ」

「歩くのが遅いんじゃねえの。もうおっさんだしな」

「口を慎むんだな。俺はまだ29だ」

「おっさんじゃん」

「黙りなさい」

彼とは会う度にこんな会話を交わす。
喧嘩するほど仲がいいとも言うけれども。

「…もうあれから2ヶ月だな」

「…そうだな」

写真を見ながら、俺は思い出していた。
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