そして星は流れて消えた
今年にはいってすぐ、1月6日。

星華は息を引き取った。

誕生日が終わったあとからは、星華は頭痛と吐き気に襲われベッドに寝たきりの状態となった。

正直いって見ていられなかった。

つらいはずなのに、俺と二人きりの時はいつも笑っていた。

俺があげたブレスレットをいつもつけていてくれたけれど、だんだんと痩せていく星華の腕からよく抜け落ちてしまっていた。

最期のその瞬間まで、星華は笑っていた。

先生といれて私は幸せだよって最期に言った。
俺もだよって、俺は言った。

それが彼女の最期の言葉だった。


「写真、最後まで悩んでたけど結局これにしたんだよ」

俺は写真を目の前にして、星華らしいなと思った。

「俺に被写体になってって言ってたくせに、結局俺の写真じゃないんだな」

「なんか、格好いい先生の姿を沢山の人に見られるのは嫉妬するから嫌だって言ってたよ」

「なんだよそれ」

俺はふっと笑う。

「いろんな意味がこもっている写真だと思うよ。そりゃ俺なんか敵わないわ。今年も俺は入賞できなかったしな。来年こそは」

写真の写真のタイトルも、悩みに悩んで決めたのだろう。
星華と一緒に見に来たかった。

「綺麗だな」


"入賞 「私の光」 天野星華"


写真は病室から撮った、北斗七星の写真だった。

「先生の北斗って名前とかけたんだろうな。北斗七星は北極星を見つけるための目印。星華はよく、先生は私を導いてくれる光だって、言っていたから」



俺らはしばらく写真の前に立ち尽くしていた。
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