キミに出会うまで
まだ終電に間に合うから、駅に向かって歩き出した。



森さん、なんであんなこと言ったんだろう。


『まゆみ』って、いとおしそうに名前呼んでたくせに。


『もう、どこにも行くなよ』なんて、私が言われたことないような、甘い言葉まで。




元カノのこと、まだ好きなくせに。


私に優しい言葉なんて、かけないでほしい。


勘違いしちゃいそうになる。




お見舞いなんて、行かなきゃよかった。


夕飯を食べそこねたことに気づいたけど、食欲はなかった。



やっぱり、私は誰かを本気で好きになれそうにない。


好きになる人は、特別な人がいる人ばかり。


こんな私には、不倫の恋がちょうどいいのかも。


未来のない恋愛。


終わりのみえない恋愛。




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