キミに出会うまで
18時終業と同時に、


「お疲れさまです、お先に失礼します」


と会社を出て、映画館の最寄り駅へ移動した。



地下鉄の窓にうつる自分の服装を見て、前もって言ってくれたら、もう少しオシャレしたのに、って思ってる自分に驚いた。


ただの同僚なら、オシャレなんてしてなくてもいいのに。


何を気にしてるんだろう。



明日香先輩とひとみちゃんの視線が気になって化粧直しもできなかったから、近くのデパートのトイレに入った。


今朝は寝坊して、髪も巻けなかったし。


服も、なんだか地味だし。


今から、何ができるだろう。


まだ待ち合わせまで時間があったから、婦人服売場をのぞいてみた。


これから活躍しそうな、大きめのストールがあった。


明るい色が何色も入っていて、華やかな感じ。


ちょっと高かったけど、もうすぐボーナスだし。


思いきって買うことにした。


すぐ使います、って伝えたら、店員さんがキレイに巻いてくれた。


巻き方も教えてくれて、気分があがった。



待ち合わせ場所に着いて冷静になったら、服装に気を使っている自分が急に恥ずかしくなった。


これから来るのは、ただの同僚なのに。


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