キミに出会うまで
落ち着いた雰囲気の、大人のお店。


「とりあえず、ビールふたつ」


「もうビール解禁?」


「昨日まで飲んでなかったから、せっかく来たし」



揚げ出し豆腐、じゃこのサラダ、ササミの梅しそあえ。


さっぱりしたものを選んだ。


「俺のこと気にしてメニュー選んでない?」


「それもあるけど、私の好みだよ」



元カノとも、ここに来たんだろうな。


どんなの食べて、どんな話をしたんだろう。



考えても仕方がないことばかり、浮かんでくる。


変なの、ヤキモチやいてるみたい。



「さっきの映画だけどさ」


「うん」


「初恋の相手と結婚って、現実なかなかないよな」


「そうだね、私も聞いたことない」


「優花の初恋って、どんな感じ?」


「幼稚園の時に・・・」


「それも初恋だけどさ、初めて付き合ったのは?」


「高1」


「へー、で、どんな相手?」


「普通だよ、同じテニス部だった同級生」


「優花テニス部なのか、見えねー、幽霊部員か?」


「失礼だな、まあ、万年補欠だったけどさ」


「そいつに会いたいって思ったことある?」


「ないなぁ、森さんは?」


「俺は、さっきの映画みたいに、同窓会で再会したけど、別に何にも思わなかった」


「ねえねえ、どんな人?」


「高2の時のクラスメートだよ」


「かわいい感じ?きれいな感じ?」


「さあな」



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