キミに出会うまで
言ってもいい?


私も、森さんが好きだって。


自問自答してみるけど、てっちゃんの顔がちらついた。


そして、会えなかった赤ちゃん。




「ごめんなさい・・・まだ無理です」




「そっか、アイツのこと、まだ好きなんだな」



ちがうよ、って否定したい。


ただ、また裏切られるのがイヤなだけだよ、って。


でも、口も手も、なにもかも動かない。





「俺の気持ちは変わらないから、待ってるからな。


俺を信じて」



そんな、優しいこと言わないでよ。


好きっていう気持ちが、おさえられなくなる。



ねえ神様、これくらいはしてもいい?



「あ、あのね」


「なに?」


「これ、クリスマスプレゼント」


カーキ色のカーディガン。


「ありがとう、優花、ほんと俺と趣味あうわ」


喜んでくれた。


その言葉だけで嬉しいのに。



「はい、俺からも」


差し出された包みを開けてみたら、ゆらゆら揺れるチャームがついたピアスだった。


「ありがとう、かわいい・・・」


もう、このピアス以外つけられなくなっちゃうくらい、嬉しかった。








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