キミに出会うまで
近所の神社には、小さい頃は家族みんなで初詣に行っていた。


こじんまりとしているけど、元旦だからおごそかな雰囲気で、普段よりにぎわっている。


「まだ夜中なのに、けっこう人がいるんだな」


「みんなお参りしてから、寝るんじゃない」



ふたりで、鈴を鳴らしてお賽銭を入れて、お参りした。



「ねえ、何をお願いしたの」


「家に帰ったら、ぐっすり眠れますように」


「なにそれ変なの、でも昨日から寝てないもんね」


「嬉しくて眠れそうにないから。


寝て起きたら、夢だったなんてイヤだろ」



そんな風に考えたりするんだ。


なんか、かわいい。



「夢じゃないよ」


「そう願ってるよ」



そのまま、家まで送ってもらった。



これからは、会いたい時に会える人がいる。


お互いに頼ったり甘えたり。


特別な人がいるって、それだけでドキドキする。



「ありがとう」


「じゃあ、またな」


「おやすみ、ゆっくり休んでね」


「優花もな」



名残惜しいけど、休まないと今後にこたえる。


残念だけど、オールで遊べた時より確実に年齢を重ねているし。



今年は、いい年になりそうだな。


私の気持ちは、すごく前向きだった。



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