キミに出会うまで
次の日の朝。


お母さんに、ありのままを話した。


30歳の誕生日は、優樹の家に泊まりたい、って。


「いいわよ」


「えっ?」


「えっ、って何よ」


「いや、そんなにあっさり認めてくれるとは」


「反対したって、行くつもりでしょ」


「そうだけど」


「それに、お母さんたちも同棲してから結婚したの」


初耳だ。


「知らなかった」


「言ってないもの」


「じゃあ、誕生日はそうさせてもらうね」


「お父さんには、私から言っておくわ」


「大丈夫かな」


「ここんとこ、優花の誕生日は家でお祝いしてたから、少しはショックかもね」


「やっぱり、私から言うよ」


「いいのよ、男親にとって娘は特別な存在なんだから」


「じゃあ、お願いします」




両親にも歴史があって、お兄ちゃんと私が生まれて。


何不自由なく育ててもらって。


家族の存在は、普段ほとんど意識してないけど。


私の味方でいてくれることが、嬉しかった。






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