キミに出会うまで
11月中旬の金曜日は、年明けからの新商品の打ち合わせがあって。
入力作業が遅れて、残業することになった。
いつも予定のない私は、都合の悪い人の代わりに残業を引き受けることが多くなっていて。
今日も、彼氏と約束のあるひとみちゃんの代わりに、残業することになっていた。
「お疲れさまです、お先に失礼します」
ニコニコ帰っていくひとみちゃんを、
「お疲れさま」
いつものように見送る私。
楽しみは貯金しかない私の、最近の光景。
会社のみんなも、いつも残業を引き受けているのが私ってことに気づいてるだろうけど、理由を知っているのか何も言われなかった。
でも、その日は違った。
ひとみちゃんが、慌てて戻ってきたから。
「さ、坂本さん!」
「どうしたの水野さん、忘れ物?」
「私やっぱり、残業します!」
「えっ、だって約束があるんじゃ・・・」
「いいんです、とにかく今すぐ帰ってください!」
「本当にどうしたの、突然そんなこと言うなんて」
私とひとみちゃんのやり取りが聞こえたのか、明日香先輩も話に入ってきた。
「水野さん、何かあったの?」
「あっ、ありました、実は・・・」
ひとみちゃんは、明日香先輩にコソコソ耳打ちした。
「坂本さん、残業は私が引き受けるから、すぐに帰って」
「土屋さんまで何言ってるんですか、水野さんは約束があって・・・」
「だいじょうぶ、水野さんにも帰ってもらうから、気にしないで帰りなさい」
「・・・そうですか、わかりました」
残業ばかりしている私のこと、気にかけてくれたのかな。
そんなこと、気にしなくていいのに。
早く帰っても、することなんてないのに。
ノロノロ帰り支度をして、
「お疲れさまです、お先に失礼します」
会社を出て、エレベーターに乗った。
なぜか、明日香先輩とひとみちゃんも一緒に乗っていた。
入力作業が遅れて、残業することになった。
いつも予定のない私は、都合の悪い人の代わりに残業を引き受けることが多くなっていて。
今日も、彼氏と約束のあるひとみちゃんの代わりに、残業することになっていた。
「お疲れさまです、お先に失礼します」
ニコニコ帰っていくひとみちゃんを、
「お疲れさま」
いつものように見送る私。
楽しみは貯金しかない私の、最近の光景。
会社のみんなも、いつも残業を引き受けているのが私ってことに気づいてるだろうけど、理由を知っているのか何も言われなかった。
でも、その日は違った。
ひとみちゃんが、慌てて戻ってきたから。
「さ、坂本さん!」
「どうしたの水野さん、忘れ物?」
「私やっぱり、残業します!」
「えっ、だって約束があるんじゃ・・・」
「いいんです、とにかく今すぐ帰ってください!」
「本当にどうしたの、突然そんなこと言うなんて」
私とひとみちゃんのやり取りが聞こえたのか、明日香先輩も話に入ってきた。
「水野さん、何かあったの?」
「あっ、ありました、実は・・・」
ひとみちゃんは、明日香先輩にコソコソ耳打ちした。
「坂本さん、残業は私が引き受けるから、すぐに帰って」
「土屋さんまで何言ってるんですか、水野さんは約束があって・・・」
「だいじょうぶ、水野さんにも帰ってもらうから、気にしないで帰りなさい」
「・・・そうですか、わかりました」
残業ばかりしている私のこと、気にかけてくれたのかな。
そんなこと、気にしなくていいのに。
早く帰っても、することなんてないのに。
ノロノロ帰り支度をして、
「お疲れさまです、お先に失礼します」
会社を出て、エレベーターに乗った。
なぜか、明日香先輩とひとみちゃんも一緒に乗っていた。