キミに出会うまで
優樹の緊張が、私にも伝わってきて、ドキドキした。



「今日はお時間をいただいて、ありがとうございます。


お父さん、お母さん、優花さんと結婚させてください」



あれ、同棲じゃなかったっけ?



そう思いながらも、


「よろしくお願いします」


と、私も頭を下げた。


数秒の沈黙のあと、


「ワガママな娘だから迷惑かけるだろうが、よろしく頼みます」


お父さんが答えた。



「よかったわね、一時はどうなるかと思ったけど」


「心配かけてごめんね」


「それで、どこで暮らすの?」


「いま僕が住んでいるマンションです」


「優樹さんのご両親にもご挨拶に行かないとね」


「いえ、僕の両親が東京に来ますので」


「あら、函館に行くの楽しみにしてたのに」


「函館にもぜひいらしてください、ゴールデンウィークあたりが桜が咲いてきれいですから」


「ご両親がいらっしゃるのは来年早々がいいのかしらね、もうすぐ年末で慌ただしいし」


「先方のご都合が最優先なんだから、うかがってからにしなさい」


お母さんの先走った発言を、お父さんがたしなめた。




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