キミに出会うまで
その時、ふと気づいた。


森さんが、いつのまにか隣に座っていたことに。


たしか着いたときは、向かい合わせで座っていたはず。


もしかして、なぐさめるために隣に来てくれた?



そんなさりげない優しさに、少し惹かれている私と、もう誰も好きにならないって必死でブレーキをかける私が、綱引きのようにお互いを引っ張っているようだった。



なんとかごまかすために、


「森さんは、どうして彼女と別れちゃったんですか?」


と、ダメ元で聞いてみた。




「俺は、まあ、よくある話っていうか・・・」


「私だけ話すなんて、ズルイです」


「そうだけど・・・」


歯切れが悪かったけど、話してくれた。
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