気になるパラドクス
「……真理にぶっかけられたんだよ。なんか匂い付きの消臭剤」
クンクンしていたのがバレてたらしいけど、情けなさそうに聞こえてきた言葉に吹き出した。
「しょ、消臭剤?」
「滅多に着ないから、少し埃臭かったらしい。まぁ、スーツなんて初めましてって感じの商談か、銀行に行くときしか着ないから。後はクリーニングだして実家に吊るしてるだけだし」
「うちの女の子たちも、その姿に何だか萌えてたよ」
黒埼さんはしばらく黙り込んで、それから苦笑混じりに呟いた。
「それは乙女的な萌えの意味で? それとも野獣的な燃えの意味でか?」
「うーん。どっちもかなぁ。冷静に分析力発揮してる子もいたけど」
「お前は?」
私? 私は……。
「乙女的な意味でかなぁ? 普段は着ないって聞いていたし、デートだから着てくれたのかなぁとか、思っちゃったし」
「まぁ、デートだから着たんだけど」
そうだろうけど。
「黒埼さんのいつもの格好も好きだけど、男の人って、どうして仕事してる時とか、スーツ姿の時だとか、いつもより倍に格好よく見えるのか不思議」
「俺は時々される爆弾発言に驚かされるけどなぁ」
なんの話?
そう思って顔を上げると、少し照れたように視線を外された。
「今日のお前の格好は、俺は野獣的な意味で燃えたよ」
……あ、そ、そう?
そんなことを照れながら言われても、とんでもなく困るけど!
どうしてそんなことを、今のタイミングで言うかな?
そう考えて、さっきの発言が、ちょっぴり遠回しに“今日のあなたは、いつもより倍格好いいわよ”的な意味になることに気がついた。
これは私が恥ずかしい。
「あ、あの……」
言い訳を言いかけたらエレベーターが目的の階について、いきなり抱えあげられる。
クンクンしていたのがバレてたらしいけど、情けなさそうに聞こえてきた言葉に吹き出した。
「しょ、消臭剤?」
「滅多に着ないから、少し埃臭かったらしい。まぁ、スーツなんて初めましてって感じの商談か、銀行に行くときしか着ないから。後はクリーニングだして実家に吊るしてるだけだし」
「うちの女の子たちも、その姿に何だか萌えてたよ」
黒埼さんはしばらく黙り込んで、それから苦笑混じりに呟いた。
「それは乙女的な萌えの意味で? それとも野獣的な燃えの意味でか?」
「うーん。どっちもかなぁ。冷静に分析力発揮してる子もいたけど」
「お前は?」
私? 私は……。
「乙女的な意味でかなぁ? 普段は着ないって聞いていたし、デートだから着てくれたのかなぁとか、思っちゃったし」
「まぁ、デートだから着たんだけど」
そうだろうけど。
「黒埼さんのいつもの格好も好きだけど、男の人って、どうして仕事してる時とか、スーツ姿の時だとか、いつもより倍に格好よく見えるのか不思議」
「俺は時々される爆弾発言に驚かされるけどなぁ」
なんの話?
そう思って顔を上げると、少し照れたように視線を外された。
「今日のお前の格好は、俺は野獣的な意味で燃えたよ」
……あ、そ、そう?
そんなことを照れながら言われても、とんでもなく困るけど!
どうしてそんなことを、今のタイミングで言うかな?
そう考えて、さっきの発言が、ちょっぴり遠回しに“今日のあなたは、いつもより倍格好いいわよ”的な意味になることに気がついた。
これは私が恥ずかしい。
「あ、あの……」
言い訳を言いかけたらエレベーターが目的の階について、いきなり抱えあげられる。