気になるパラドクス
「認めないから!」
「認めなくても事実だから。しかもウトウトしながら、俺とお前の子供なら、ちょうどいい目付きの子供が生まれるかもしれない、とか言い出すし。すげーなぁとか思った」
何が“すげー”のか、私にはわからないよ。
真剣に頷いている黒埼さんを眺めて、思わず頭を抱えた。
確かにつり目の私と、たれ目がちな黒埼さんとの子供なら、ちょうど良さげな子供が……。
いやいやいや、普通に考えて、子供は両親のどちらかに似るでしょう?
そもそもその前に、いきなりそんな子供の話なんて……!
でも、プロポーズ的な事を言われている……と、言うか、私も一般論としての言葉が、逆プロポーズみたいになったわけなんだけど、それはそれで将来の展望を妄想するには十分?
「み、認められません」
「認めなくてもいいけど」
……いいの?
目を真ん丸にして、何故か偉そうな黒埼さんを見つめた。
「お前はぼんやりしてたけど、俺はしっかり聞いていたから。ところでお前の実家どこ?」
「……何故」
「何故って。だから、三つ指ついて嫁にくれって言いに行くに決まってるからだろ?」
き……。
「決まってませんー。決めてもいません。まだ何も決まってません!」
「まぁ、諦めて。俺はしたいようにするだけだから。決まってないならきめりゃいいだけだし」
ひょいっと黒埼さんは私の左手を取ると、ジーンズのポケットから何か取りだし、薬指にスルスルと……。
シンプルな銀色のリングを通された。
さすがにこれは……あまりの事に唖然としてリングを眺める。
「………あの」
「ん?」
「どうしてリングサイズわかりましたか。そして何故いきなりこのリングを?」
顔も見ずに呟く私に、黒埼さんは淡々と答えてくれた。
「アクセサリも俺はたまに作るから、だいたい触ってたらわかる。結婚するなら、やっぱりプラチナリングかと思って」
話の道筋としてはおかしくない。おかしくないけど、やっぱりおかしい。
ああああもう、日本語通じてる?
通じてないんだろうな。普通一般的な意味合いでは。
そういった意味では、彼はちょっとだけ変だし。
「……自信家ねぇ」
呆れて言うと、黒埼さんは嬉しそうに微笑んだ。
「起きてる時の美紅は、素直じゃないから困るよな?」
言わなかった断りを、プロポーズへのイエスと判断したらしい。
その笑顔に、思わず苦笑した。
「認めなくても事実だから。しかもウトウトしながら、俺とお前の子供なら、ちょうどいい目付きの子供が生まれるかもしれない、とか言い出すし。すげーなぁとか思った」
何が“すげー”のか、私にはわからないよ。
真剣に頷いている黒埼さんを眺めて、思わず頭を抱えた。
確かにつり目の私と、たれ目がちな黒埼さんとの子供なら、ちょうど良さげな子供が……。
いやいやいや、普通に考えて、子供は両親のどちらかに似るでしょう?
そもそもその前に、いきなりそんな子供の話なんて……!
でも、プロポーズ的な事を言われている……と、言うか、私も一般論としての言葉が、逆プロポーズみたいになったわけなんだけど、それはそれで将来の展望を妄想するには十分?
「み、認められません」
「認めなくてもいいけど」
……いいの?
目を真ん丸にして、何故か偉そうな黒埼さんを見つめた。
「お前はぼんやりしてたけど、俺はしっかり聞いていたから。ところでお前の実家どこ?」
「……何故」
「何故って。だから、三つ指ついて嫁にくれって言いに行くに決まってるからだろ?」
き……。
「決まってませんー。決めてもいません。まだ何も決まってません!」
「まぁ、諦めて。俺はしたいようにするだけだから。決まってないならきめりゃいいだけだし」
ひょいっと黒埼さんは私の左手を取ると、ジーンズのポケットから何か取りだし、薬指にスルスルと……。
シンプルな銀色のリングを通された。
さすがにこれは……あまりの事に唖然としてリングを眺める。
「………あの」
「ん?」
「どうしてリングサイズわかりましたか。そして何故いきなりこのリングを?」
顔も見ずに呟く私に、黒埼さんは淡々と答えてくれた。
「アクセサリも俺はたまに作るから、だいたい触ってたらわかる。結婚するなら、やっぱりプラチナリングかと思って」
話の道筋としてはおかしくない。おかしくないけど、やっぱりおかしい。
ああああもう、日本語通じてる?
通じてないんだろうな。普通一般的な意味合いでは。
そういった意味では、彼はちょっとだけ変だし。
「……自信家ねぇ」
呆れて言うと、黒埼さんは嬉しそうに微笑んだ。
「起きてる時の美紅は、素直じゃないから困るよな?」
言わなかった断りを、プロポーズへのイエスと判断したらしい。
その笑顔に、思わず苦笑した。