気になるパラドクス
「だいたい気に入ったならどんなもんも長所になり得るのに、そんなこと聞かれても困るから」

黒埼さんはコーヒーを飲み、それから思い付いたように目を輝かせた。

「一番はフロップ見た時の反応だな。だいたい俺の所持品は営業兼ねてるからフロップだらけだし、一歩もひかずに身を乗り出してきた女はお前くらいだ」

言われて真っ赤になった。

「み、認めません!」

「認めようが認めまいが、お前は可愛いものに目がないだろ。試しにミリー出したら飛びついてきたくせに」

それは認めたくないけど、少し自覚している。

何だか気分的にぐったりして、ミルクティーを飲みながら溜め息をつく。

「わかりました。とりあえず、からかってないという感じってことは」

「すげー遠回しにぼやけた納得の仕方だな」

「だって、聞いてる感じ、風邪っぽい印象は変わりませんもん」

サンドイッチを食べ終えて、ゴミをコンビニの袋にまとめると立ち上がる。

「では、私は午後の仕事に戻りますので。お話ありがとうございました。参考にさせていただきますね」

黒埼さんは、ちょっと奇妙な顔をしたけど、スルーして七階の営業部へ戻った。

……フロッグすてっぷとの企画は、いつまでのものなのかな。

内線電話を取り上げて、それから企画室で仲のいい三崎さんを呼び出して聞き出すことにした。

風邪の予防策としては、風邪菌に近づかない。これが一番よ。










< 35 / 133 >

この作品をシェア

pagetop