気になるパラドクス
それでも店舗に着くと、私は可愛いものにウキウキする。
やっぱりフロップ可愛い!
「見て見て、美波。フロップがマグの取っ手に座ってる!」
「ふーん」
「あ。ハンドタオルも可愛い。こっちはキッチングッズだ」
「へぇ~」
……えーと。
冷たい視線に、もじもじした。
「美波さん。シックの方を見てきてもいいですよ」
「ありがとう。またあとでね」
手を振りあって、二階に上がっていく美波を見送った。
可愛い見た目で、ちゃんと可愛いものも似合うのに……。
でも、趣味じゃないならしょうがないよね。
唇を尖らせていると、今日は他にお客さんもいなくて暇なのか、顔見知りの店員さんが近づいてきた。
「村居さんお久しぶりですー」
「お久しぶりです~。また新作増えてますね」
「デザイナーさんがどんどん作ってますから。店舗によって置くものも、ちょっと変わってきたんですよ」
デザイナーさんと聞いて、黒埼さんの顔が思い浮かんで、すぐさま首を振って打ち消した。
「意欲的なんですね」
愛想笑いしつつ呟くと、店員さんは苦笑して片手を振る。
「いえいえー。うちのデザイナーさんは、イライラした時の方がアイデア出てくるみたいです」
「……そうですか」
黒埼さんがイライラしているのは、一度しか見たことがないかな。
合コンに来た時くらい。
思えば、黒埼さんて飄々としてるか、笑ってるかだよね。
思いながら、ミリーのスマホカバーを見つけた。
「フロップのは無いんですか?」
何気なく聞いたら、店員さんに目を丸くされる。
「よく内輪の呼び名を知ってますね。フロップの方は今、本店から在庫を持ってきてもらってまし……」
店員さんの視線が、私の背後、かなり上を向いた。
……私の上?
慌てて振り向くと、驚いた顔の黒埼さんがそこにいた。
やっぱりフロップ可愛い!
「見て見て、美波。フロップがマグの取っ手に座ってる!」
「ふーん」
「あ。ハンドタオルも可愛い。こっちはキッチングッズだ」
「へぇ~」
……えーと。
冷たい視線に、もじもじした。
「美波さん。シックの方を見てきてもいいですよ」
「ありがとう。またあとでね」
手を振りあって、二階に上がっていく美波を見送った。
可愛い見た目で、ちゃんと可愛いものも似合うのに……。
でも、趣味じゃないならしょうがないよね。
唇を尖らせていると、今日は他にお客さんもいなくて暇なのか、顔見知りの店員さんが近づいてきた。
「村居さんお久しぶりですー」
「お久しぶりです~。また新作増えてますね」
「デザイナーさんがどんどん作ってますから。店舗によって置くものも、ちょっと変わってきたんですよ」
デザイナーさんと聞いて、黒埼さんの顔が思い浮かんで、すぐさま首を振って打ち消した。
「意欲的なんですね」
愛想笑いしつつ呟くと、店員さんは苦笑して片手を振る。
「いえいえー。うちのデザイナーさんは、イライラした時の方がアイデア出てくるみたいです」
「……そうですか」
黒埼さんがイライラしているのは、一度しか見たことがないかな。
合コンに来た時くらい。
思えば、黒埼さんて飄々としてるか、笑ってるかだよね。
思いながら、ミリーのスマホカバーを見つけた。
「フロップのは無いんですか?」
何気なく聞いたら、店員さんに目を丸くされる。
「よく内輪の呼び名を知ってますね。フロップの方は今、本店から在庫を持ってきてもらってまし……」
店員さんの視線が、私の背後、かなり上を向いた。
……私の上?
慌てて振り向くと、驚いた顔の黒埼さんがそこにいた。