気になるパラドクス
「ああ。それはバレたんだ」
「……バレますよね」
……何。私は口説かれていたの? 今のが? 今のは追い詰められていただけじゃん?
でも……そうだね。
ちょっとビックリしたけど、落ち着けばどうにかできそう。
するりと壁際から抜け出して、急いで磯村くんの隣に立つと、表情を取り繕ってから黒埼さんを振り返る。
「業務がありますから戻ります。黒埼さんのお顔は覚えましたから、間違っても不審者扱いにはなりませんので安心してください。では」
ペコリと頭を下げると、カツカツと廊下を歩いてエレベーターのボタンを押す。
そして、エレベーターに乗り込みながら考える。
黒埼さんて、フロッグすてっぷの何をしている人か聞き忘れた……。
けど、まぁいいか。どうせ接点なんてそんなにないものね。
部署に戻るといつも通りに仕事を終えて、それから会社を後にする。
……それからじわじわと、黒埼さんの事を考えた。
あれが口説いていたのなら、初対面の女を口説くってどんな奴なんだろう。
とりあえず、森のクマさんと勝手にあだ名をつけながら、その日の事は忘れることに決めた。
「……バレますよね」
……何。私は口説かれていたの? 今のが? 今のは追い詰められていただけじゃん?
でも……そうだね。
ちょっとビックリしたけど、落ち着けばどうにかできそう。
するりと壁際から抜け出して、急いで磯村くんの隣に立つと、表情を取り繕ってから黒埼さんを振り返る。
「業務がありますから戻ります。黒埼さんのお顔は覚えましたから、間違っても不審者扱いにはなりませんので安心してください。では」
ペコリと頭を下げると、カツカツと廊下を歩いてエレベーターのボタンを押す。
そして、エレベーターに乗り込みながら考える。
黒埼さんて、フロッグすてっぷの何をしている人か聞き忘れた……。
けど、まぁいいか。どうせ接点なんてそんなにないものね。
部署に戻るといつも通りに仕事を終えて、それから会社を後にする。
……それからじわじわと、黒埼さんの事を考えた。
あれが口説いていたのなら、初対面の女を口説くってどんな奴なんだろう。
とりあえず、森のクマさんと勝手にあだ名をつけながら、その日の事は忘れることに決めた。