気になるパラドクス
2
*****
翌日、出社すると、営業部がざわついていた。
なんだろ?
不思議に思って後輩を見ると、にこっと微笑まれた。
「何があったの?」
「何かあったのは村居主任かと。昨日、営業三課の原さんと修羅場だったって噂です」
「え。修羅場じゃないよ。たぶん」
黒埼さんとごちゃごちゃしてたのは確かだし、原くんは逃げたけど。
「そして、フロッグすてっぷの方と手を繋いで帰ったとか?」
「それは否定しない」
間違いなく手を繋いだ。そしてその後は腕を組んだし、キスもした。
「別に有名人でもないのに。私の噂なんて、してどうするのよ」
片手を振りながら苦笑すると、他の後輩に真剣な顔をされる。
「原さんが問題なんですよ。販促部の子としばらく噂になっていたのは知ってますよねー?」
「うん。販促部のアイドルちゃんだったんでしょ?」
「そうそう。それで、うまくいかなかった理由が、両方の浮気だったそうなんです」
……それはそれは。途中から噂にも聞く耳持たなかったから、知らなかったなぁ。
「そんなことになってたんだ」
「アイドルちゃんの方は、浮気相手とうまく行ったみたいで、原さんは浮気相手と別れたって噂です」
そんなドロドロ泥沼な話には、みんなも興味津々だろうね。
「原さんが、クリスマス前に誰に行くのか、噂の的だったんですよねー」
「へぇ……」
それじゃ、私の噂はすぐに消えるかな。
だけど、原くんはそんな噂になるくらい浮気性だったかなぁ。
ある意味で真面目な人だったと思うんだけどね。
「販促のアイドルちゃんは、我が儘ですからねー? 今度の男もうまく行くんでしょうかねー?」
ウキウキと楽しそうな後輩に、どうやら原くんが、というより、アイドルちゃんが注目の的なのかと納得。
「あなた達は……下手するとただの意地悪になるわよ。いい大人なんだから放っておきなさい」
パソコンを立ち上げていたら、後ろから小さな笑い声が聞こえてきた。
翌日、出社すると、営業部がざわついていた。
なんだろ?
不思議に思って後輩を見ると、にこっと微笑まれた。
「何があったの?」
「何かあったのは村居主任かと。昨日、営業三課の原さんと修羅場だったって噂です」
「え。修羅場じゃないよ。たぶん」
黒埼さんとごちゃごちゃしてたのは確かだし、原くんは逃げたけど。
「そして、フロッグすてっぷの方と手を繋いで帰ったとか?」
「それは否定しない」
間違いなく手を繋いだ。そしてその後は腕を組んだし、キスもした。
「別に有名人でもないのに。私の噂なんて、してどうするのよ」
片手を振りながら苦笑すると、他の後輩に真剣な顔をされる。
「原さんが問題なんですよ。販促部の子としばらく噂になっていたのは知ってますよねー?」
「うん。販促部のアイドルちゃんだったんでしょ?」
「そうそう。それで、うまくいかなかった理由が、両方の浮気だったそうなんです」
……それはそれは。途中から噂にも聞く耳持たなかったから、知らなかったなぁ。
「そんなことになってたんだ」
「アイドルちゃんの方は、浮気相手とうまく行ったみたいで、原さんは浮気相手と別れたって噂です」
そんなドロドロ泥沼な話には、みんなも興味津々だろうね。
「原さんが、クリスマス前に誰に行くのか、噂の的だったんですよねー」
「へぇ……」
それじゃ、私の噂はすぐに消えるかな。
だけど、原くんはそんな噂になるくらい浮気性だったかなぁ。
ある意味で真面目な人だったと思うんだけどね。
「販促のアイドルちゃんは、我が儘ですからねー? 今度の男もうまく行くんでしょうかねー?」
ウキウキと楽しそうな後輩に、どうやら原くんが、というより、アイドルちゃんが注目の的なのかと納得。
「あなた達は……下手するとただの意地悪になるわよ。いい大人なんだから放っておきなさい」
パソコンを立ち上げていたら、後ろから小さな笑い声が聞こえてきた。