気になるパラドクス
頭の中が真っ白になって、それから猛烈に慌てた。
「ちょっとまってよ、この間も思わなかったわけじゃないけど、いろいろと早すぎると思うのよ」
「美紅はそう言うと思ったけど、早すぎることはないだろ。俺は36だし、お前は35だし、結婚して、子供産んで、遊びたい盛りの子供の相手できる年齢なんて限られてだろうし」
おおぅ。何だかいろいろと考えてる。
「例えば、来年子供が生まれたら、子供が小学生になる頃には40代だろ? 中学生になれば50代、大学まで考えると、会社もうまく運用しないとなぁとか、そんな事も考えるよな」
とーっても、真面目に語っている。
言っていることは、確かに正論なのよ。間違ってもいないと思うし、ちゃんとしっかり考えているんだと、逆に感心もするんだけど……。
するけど、根本的に何かが違うような気がしないでもない。
「あのね黒埼さん。私たち、付き合い始めたばかりだって気づいてる?」
「うん。未だにキスしかしてない清い関係だってことにも気づいてる」
うん。それは恥ずかしいから、横に置いておくとしてもよ?
よし、付き合おう! って、感じで付き合い始めたわけでもないし、黒埼さんいわく“なんとなく”付き合い始めた感がないわけじゃないんだ。
だからってわけじゃないけど、その……。
「実家にってことは、ご挨拶なんでしょうけど……結婚とかって、付き合っていろいろあって、その末のお話じゃない?」
「お伽噺なら、結婚してめでたしめでたしかもしれないが、実際は違うだろ」
そこそこ付き合ったふたりが結婚するのは、一種の結末のような気がするんだけど。
考え込むと、黒埼さんはふっと笑って私の頭を抱えると引き寄せた。
「結婚をゴールインなんて言う奴もいるけど、通過点にしか過ぎないだろ」
「通過点……?」
「付き合っていろいろあってから結婚したって、その後もいろいろあるんだろうし。無いわけがないし」
それは、そうだろうけど。
結婚して、波風たたない平穏で穏やかな生活が続くなら、離婚する夫婦はいないだろうし。
だ、だからって。
「確か美紅が“背の高い女と男は結婚しない”とか、なんか言っていた時かなー。俺もその時まではそこまで考えてなかったけど」
その時の思い出すように呟いて、黒埼さんは小さく笑った。
「ちょっとまってよ、この間も思わなかったわけじゃないけど、いろいろと早すぎると思うのよ」
「美紅はそう言うと思ったけど、早すぎることはないだろ。俺は36だし、お前は35だし、結婚して、子供産んで、遊びたい盛りの子供の相手できる年齢なんて限られてだろうし」
おおぅ。何だかいろいろと考えてる。
「例えば、来年子供が生まれたら、子供が小学生になる頃には40代だろ? 中学生になれば50代、大学まで考えると、会社もうまく運用しないとなぁとか、そんな事も考えるよな」
とーっても、真面目に語っている。
言っていることは、確かに正論なのよ。間違ってもいないと思うし、ちゃんとしっかり考えているんだと、逆に感心もするんだけど……。
するけど、根本的に何かが違うような気がしないでもない。
「あのね黒埼さん。私たち、付き合い始めたばかりだって気づいてる?」
「うん。未だにキスしかしてない清い関係だってことにも気づいてる」
うん。それは恥ずかしいから、横に置いておくとしてもよ?
よし、付き合おう! って、感じで付き合い始めたわけでもないし、黒埼さんいわく“なんとなく”付き合い始めた感がないわけじゃないんだ。
だからってわけじゃないけど、その……。
「実家にってことは、ご挨拶なんでしょうけど……結婚とかって、付き合っていろいろあって、その末のお話じゃない?」
「お伽噺なら、結婚してめでたしめでたしかもしれないが、実際は違うだろ」
そこそこ付き合ったふたりが結婚するのは、一種の結末のような気がするんだけど。
考え込むと、黒埼さんはふっと笑って私の頭を抱えると引き寄せた。
「結婚をゴールインなんて言う奴もいるけど、通過点にしか過ぎないだろ」
「通過点……?」
「付き合っていろいろあってから結婚したって、その後もいろいろあるんだろうし。無いわけがないし」
それは、そうだろうけど。
結婚して、波風たたない平穏で穏やかな生活が続くなら、離婚する夫婦はいないだろうし。
だ、だからって。
「確か美紅が“背の高い女と男は結婚しない”とか、なんか言っていた時かなー。俺もその時まではそこまで考えてなかったけど」
その時の思い出すように呟いて、黒埼さんは小さく笑った。