禁断の部屋
「俺が街の皆からどう思われているかも知っているし、良くない噂が流れているのも知っている……」
なるほど? だから言わなかったというのね?
「……言う必要はないと思った」
勝手な言い草ね。
「わたしには知る必要があると思うけれど?」
片方の眉を上げて訊ねると、彼の背中はますます丸くなり、身体も小さくなっている気がする。
彼はいったいどういう顔で話しているのかしら。
覗き込むと、真っ赤な顔があった。
彼のその姿を見ているうちに、怒りは消えた。
弾む胸を抑えきれない。
だってわたしはずっと気になっていたのよ。
わたしの絵を買ってくれる人は、いったいどんな人なんだろうって……。
――ああ、もうどうすればいいのよ。
どうしてくれるわけ? ずっと気になっていた人が、リュシアンだったなんて!!
「貴方はわたしを引き取ったわ! 落とし前、つけてくれるわよね?」