禁断の部屋

 そして人買いに売られる寸前、何の因果かリュシアンが居合わせ、借金の肩代わりをしてくれたのよ。


 助かったとは思うけれど、でも、実は全然嬉しくない。


 それというのも、彼はあまりにも無口で、無愛想だから。

 ううん、それだけじゃないわ。実は彼、過去に人殺しまでしたっていう噂があるんだもの。


 正直、ものすごく怖いわ。

 わたし、殺されてしまうのかもしれない。

 まあ、わたしは家族がいないから、手をかけやすいわよね。

 彼はもしかすると、手をかけたくてしょうがない衝動に駆られているのかもしれない……。


 ああ、どうしよう。わたし、きっと殺されるんだわ。

 そうしてわたしは冷たくなった身体を人知れず深い森の中に埋められてしまうのよ。




 わたしはリュシアンに与えられた部屋で毎日を震えながら過ごしていた。


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