禁断の部屋

 彼はよくよくわたしにそう言うと、鍵束を手渡した。


「これは、どこの鍵?」


渡された鍵は小指よりもひとまわり小さなものだった。

 わたしは内心怯えながらも気丈に振る舞い、ここ数日間一緒にいても、けっしてにこりとも笑わない無愛想な彼に問うた。


「廊下の突き当たりにある、小さな部屋だ」

 彼はそう言い残し、わたしをひとり、広い屋敷に置いたまま、出て行ってしまった。





 ――それからさらに四日が過ぎたわ。

 わたしはいつものように、展覧会に出展する絵を描いて過ごしていた。

 借金取りに売られそうになった時、リュシアンには助けてもらったけれど、もともとは自分の借金だ。

 お金はいつできるかはわからないけれど、必ず返すつもり。


 犯罪者かもしれないけれど、でも、やっぱり借金取りからわたしを引き取ってくれたわけだし、だからそう言ったの。だけどリュシアンは、「いらない」の一点張り。


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