禁断の部屋
もしかすると、わたしはあと数日の命で、リュシアンに殺されてしまうのかもしれない。
けれど、それでも一応は助けて貰ったんだもの。借りは作りたくない。
……本当はね、わたし、自分の命なんてどうでもいいの。
わたしには誰も救いの手を差し伸べてくれないことはもう知っているもの……。
寝込んでいる時も誰も助けてはくれなかったし、誰にも必要とされていない生活にはもう疲れてしまったわ。
両親がこの世界から去り、残されたわたしにあるのは絵だけ――。
だったら命あるまで、わたしは絵を描き続けるわ。
『わたし』という人物がいたということをこの世界に残すために……。
わたしができるのはせいぜいそれくらいだもの。
でも、気になるのよね。
リュシアンが家を出る直前に言った、『小さな部屋』のこと。それがどうにも頭から離れない。