禁断の部屋
小さな部屋に、いったい何があるというのかしら。
『開けてはいけない』
『入ってはいけない』
そう言われると、気になって仕方がないのは人間の心理よね。
それにもしかすると、彼がこれまでに犯した罪の証がその部屋にあるのかもしれないわ。
小さな部屋には恐ろしい光景が広がっている可能性もある。
だったら彼が留主にしているこの間にたしかめて、警察に通報するのがいいかもしれない。
ああ、だけどわたしのような身よりもない人間を警察は相手にしてくれるかしら……。
不安だらけだけれど、どうせわたしはこの先、生きていける自信はない。仮にリュシアンに見つかって殺されたとしても、それはそれで仕方のないことだったかもしれないわ。
大きく鼓動する胸を擦りながら、わたしは小さな部屋の鍵穴に鍵を挿し込んだ。
ああ、心臓の音がとても大きく聞こえるわ。