ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



「俺も行く。3対1とか卑怯じゃん」


真斗は強い目をして、先輩達を睨みつけて言った。


それを止めたのは、敬太。


「来んなよ。俺一人でも平気だし」


「何カッコつけてんだよ!
一人じゃヤバイって!」



敬太もきっと本心では、一人は危険だと分かっていると思う。


それでも真斗に来るなと言ったのは、親友に怪我をさせたくないからなんじゃないかな。


『来んな』『絶対に行く』と言い合う2人に、女子とは違う男子の友情の形を見た。


こういう時って女子なら慌てて友達を掻き集めて、人数を増やそうとするよね。

男子って、すごいなぁ……。


敬太と真斗の友情にちょっとだけ感動してほっこりしてしまったけど、すぐにそんなのん気な気持ちは消え失せた。


飯塚先輩が馬鹿にしたように鼻で笑って、2人に言う。



「オマケが付いて来るか来ないかは、後でゆっくり話し合えや。

俺らは暇じゃねぇ。これから部活があるから、遊んでやるのはその後な。

はい、これ。場所と時間書いてあるから。

柏木敬太、絶対に来いよ。
逃げたら弱虫のクソだったって、学校中の噂にしてやるからな」


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