ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



私は自分の席に座り、敬太は私の机に腰掛けた。


そこにすぐ真斗も寄ってきて、あっという間にクラスメイトの半数ほどに囲まれてしまった。


男子達は口々に敬太に言う。


「昨日も警察に行ったのか?」


「もう放っとけって。
あいつらは敬太にヤキ入れようとしていた敵じゃん。助けてやる義理はねーだろ」


「そうなんだけどさ……やってないのに、犯人扱いされたんじゃ、いくら何でも可哀想だろ」



約2週間前の飯塚先輩の事件は、あの後、こういう展開になっていた。


ナニカが追いかけてくるかと思った私と敬太と真斗は、自転車で神社から逃げ出し、警察署に向かった。


私は化け物の話を警察が信じるとは思えないし、犯人扱いされる可能性もあるからやめた方がいいって言ったんだけど、敬太が……。


『あのまま死体を放置できっかよ』


そう言う敬太に従って、仕方なく3人で夜の警察署に行った。


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