空蝉
「女がいたら、わざわざお前のこと追いかけて引き留めねぇよ」
充はベッドに腰掛けた。
「俺は親父とも翔とも違う。お前を泣かせるようなことだけはしねぇ」
はっきりと言った充。
エミは目を丸くしていた。
が、次にはクスリと笑い、
「そうかなぁ。充は、お父さんとも翔とも、根本的なところは似てると思うけど」
「どこがだよ。似てねぇだろ」
「似てるわよ。女に対して甘いところとか、特に」
自覚はない。
充はよくわからずに首をかしげたが、
「これが親兄弟の血縁ってやつなのかしら」
エミは笑いながら言った。
思えばエミと、こんな風に、父や翔のことを話したのは、初めてだ。
どこかタブーにしていた話題だったが、でも今は不思議と嫌な気分にはならない。
「翔と別れて俺と付き合ったこと、後悔したことあるか?」
「ない」
エミは即答した。
充は思わず笑ってしまった。
「俺もだよ。俺も、お前を翔から奪い取ったこと、後悔してねぇよ。誰に後ろ指を差されたって、二度と別れるつもりねぇし」
充はエミの肩を引く。
「覚悟しとけ」
「何の『覚悟』?」
「俺と死ぬまで一緒にいる覚悟」
エミは「これだから元ヤンは」と言っていたが、耳が少し赤くなっていた。
充はまた笑い、そんなエミの頭を撫でてやった。
充はベッドに腰掛けた。
「俺は親父とも翔とも違う。お前を泣かせるようなことだけはしねぇ」
はっきりと言った充。
エミは目を丸くしていた。
が、次にはクスリと笑い、
「そうかなぁ。充は、お父さんとも翔とも、根本的なところは似てると思うけど」
「どこがだよ。似てねぇだろ」
「似てるわよ。女に対して甘いところとか、特に」
自覚はない。
充はよくわからずに首をかしげたが、
「これが親兄弟の血縁ってやつなのかしら」
エミは笑いながら言った。
思えばエミと、こんな風に、父や翔のことを話したのは、初めてだ。
どこかタブーにしていた話題だったが、でも今は不思議と嫌な気分にはならない。
「翔と別れて俺と付き合ったこと、後悔したことあるか?」
「ない」
エミは即答した。
充は思わず笑ってしまった。
「俺もだよ。俺も、お前を翔から奪い取ったこと、後悔してねぇよ。誰に後ろ指を差されたって、二度と別れるつもりねぇし」
充はエミの肩を引く。
「覚悟しとけ」
「何の『覚悟』?」
「俺と死ぬまで一緒にいる覚悟」
エミは「これだから元ヤンは」と言っていたが、耳が少し赤くなっていた。
充はまた笑い、そんなエミの頭を撫でてやった。