空蝉
1
高校を卒業するまで、あと半年。
そんな中、久しぶりに中学時代の同級生から電話が掛かってきた。
「高校を卒業したら地元を離れる子もいるし、その前に、昔仲がよかったみんなで集まろうよ」と。
ケイは返事を保留にして電話を切った。
あの頃のことを思い出さないように努めていたわけではないが、それでもやっぱり、思い出すと辛くなる。
かつて親友だった真理が死んで、4年。
真理とは中学1年の頃、同じクラスだった。
入学して、右も左もわからず緊張していたケイに、出席番号がひとつ前の真理が、声を掛けてくれたのがきっかけだった。
さらに、話しているうちに、同じアイドルが好きだと知って、余計に意気投合した。
ケイと真理はいつも一緒だった。
移動教室の時も、給食の時も、班に別れる時も、トイレに行く時でさえも。
真理とは、好きなアイドルのことや、勉強のことと同じくらい、恋の話もした。
真理は「好きな人がいるの」と言っていた。
「お兄ちゃんの親友で、私の初恋の人なの」と。
顔を赤らめて『好きな人』のことを話していた真理。
真理は学年で一番、可愛い子だった。
おまけに性格もよく、明瞭で、活発で、でも女の子らしいところもあって。
とにかく真理はみんなから好かれていて、そんな真理と親友であることを、ケイは誇らしく思っていた。
ずっとこの関係が続くのだと思っていた。
一生、私たちは親友でいられると、幼かったあの頃のケイは、信じて疑わなかった。
なのに。