空蝉
高校生になった。
翔は、中学で付き合っていた子とどうなったのかは知らないが、高校に入学してすぐの頃から、エミと付き合い始めた。
高校生になったからなのか、それとも年上のエミと付き合い始めたからなのか、ぐっと青年の色香を増した翔。
美人な部類に入るエミと並んで歩いていると、だから翔は余計、絵になり、そしてみんなの噂にもなった。
おかげで、今まで以上にモテるようになった翔。
しかし、翔が目立てば目立つほど、ヨシキへの注目も増していく。
よく、知らない女の子たちから告白されたりしたが、ヨシキはそのすべてを断った。
真理のことを好きだからというのが一番だ。
が、やっぱり根底には、自分の姿形が異形に思えて気持ちが悪く、こんな人間の何を見て好きだと言っているのかがわからなかったから。
「相変わらず、翔の人気は半端ねぇなぁ。あいつがいるだけで人が集まる。特に、女。ハーメルンの笛吹きかっつーの」
常にエミと一緒にいるようになった翔。
人の中心で、ふたりは仲を見せつけるように笑っている。
うるさいのが嫌いなヨシキとカイジは、だからよく一緒にいるようになった。
本気で好きになったカノジョができて、よくも悪くも少しだけ変わってしまった翔。
対して、カイジはちひろと付き合い始めたのに、相変わらずクールで、のろけるようなことさえないため、ヨシキは何だかひどく安心できた。
「翔は昔から、自由で人好きする。俺なんかとは正反対だよ」
「いや、翔は特殊だろ。顔よくて、嘘つかなくて、賭け値なく人を思いやれる。偉そうで勝手なところもあるけど、何だかんだで有言実行だし。だから人を惹き付ける魅力に溢れてる。あれと同じようなやつはそうそういねぇよ」
「………」
「背負ってるもんがあったって、あいつは自分の手で幸せを掴み取れるやつだ。俺としては、羨ましいのを通り越して、時々憎らしくなるけどな」
幼い頃の翔は、ヨシキにとって、希望の光だった。
けれど、今となっては、翔はみんなの太陽みたいな存在なのだ。
ヨシキにもカイジにも、それは少し、眩しすぎたのかもしれない。
翔は、中学で付き合っていた子とどうなったのかは知らないが、高校に入学してすぐの頃から、エミと付き合い始めた。
高校生になったからなのか、それとも年上のエミと付き合い始めたからなのか、ぐっと青年の色香を増した翔。
美人な部類に入るエミと並んで歩いていると、だから翔は余計、絵になり、そしてみんなの噂にもなった。
おかげで、今まで以上にモテるようになった翔。
しかし、翔が目立てば目立つほど、ヨシキへの注目も増していく。
よく、知らない女の子たちから告白されたりしたが、ヨシキはそのすべてを断った。
真理のことを好きだからというのが一番だ。
が、やっぱり根底には、自分の姿形が異形に思えて気持ちが悪く、こんな人間の何を見て好きだと言っているのかがわからなかったから。
「相変わらず、翔の人気は半端ねぇなぁ。あいつがいるだけで人が集まる。特に、女。ハーメルンの笛吹きかっつーの」
常にエミと一緒にいるようになった翔。
人の中心で、ふたりは仲を見せつけるように笑っている。
うるさいのが嫌いなヨシキとカイジは、だからよく一緒にいるようになった。
本気で好きになったカノジョができて、よくも悪くも少しだけ変わってしまった翔。
対して、カイジはちひろと付き合い始めたのに、相変わらずクールで、のろけるようなことさえないため、ヨシキは何だかひどく安心できた。
「翔は昔から、自由で人好きする。俺なんかとは正反対だよ」
「いや、翔は特殊だろ。顔よくて、嘘つかなくて、賭け値なく人を思いやれる。偉そうで勝手なところもあるけど、何だかんだで有言実行だし。だから人を惹き付ける魅力に溢れてる。あれと同じようなやつはそうそういねぇよ」
「………」
「背負ってるもんがあったって、あいつは自分の手で幸せを掴み取れるやつだ。俺としては、羨ましいのを通り越して、時々憎らしくなるけどな」
幼い頃の翔は、ヨシキにとって、希望の光だった。
けれど、今となっては、翔はみんなの太陽みたいな存在なのだ。
ヨシキにもカイジにも、それは少し、眩しすぎたのかもしれない。